クレーム対応

クレームの対応の重要性

企業にとって「クレームは宝の山」と表現する経営者もいますが,やはり企業にとってクレームは耳の痛い話であり,対応に苦慮されているのではないでしょうか。
特に,昨今は誰でもSNSなどで発信できる時代ですので,クレームの対応ミスから大きな問題に発展するケース珍しくありません。
年々,クレーム対応の重要性は高まってきているといえ,十分に対策をしておく必要があるといえます。

正当なクレームと不当なクレーム

クレームは,大きく分けて「正当なクレーム」か,「不当なクレーム」の2種類に分けることができます。
ここで「正当なクレーム」とは,クレームの原因と要求の内容がいずれも正当なクレームをいい,「不当なクレーム」とは,クレームの原因が正当でない,または,クレームの原因に対して要求が不当なクレームをいいます。
正当なクレームであるか,不当なクレームかによって対応が大きく変わることとなりますが,なかなか線引きが難しく,初動対応における状況把握が重要になります。

要求内容が正当 要求が不当(過大)
クレームの原因が正当 正当なクレーム 不当なクレーム
クレームの原因が不当 不当なクレーム

クレームの初動~冷静に状況把握を~

お客様からクレームを受けたときに重要なことは,まずは状況を把握することです。これは至極当然のことなのですが,お客様がお怒りの場合には,初動の担当者が冷静に事態を把握できないことが往々にしてあります。その結果,責任者に正しい情報が伝わらず,お客様をたらい回しにしてしまうことで,お客様をさらに怒らせることも珍しくありません。
もし,お客様が感情的になられている場合には,会議室など静かな場所に移動することも有用です。できるだけお互いが冷静な雰囲気で対話をすることで,初動の段階からクレームの原因を把握することが重要です。
また,的確に状況把握をするためには,お客様に反論をしたり,謝罪に終始したりしないように気をつけましょう(反論や謝罪は状況確認ができてからの話です。)

クレーム対応で気をつけたいこと

 ① 担当者をめったに変えないこと

クレーム対応の途中で担当者が変わる際に,前の担当者がお客様と話した言葉を一言一句引き継ぐことは不可能です。ですので,どうしても,「前の担当者に話したことが伝わっていない。」という事態が生じてしまいがちです。
こういったときに,お客様が「ないがしろにされているのではないか。」という不信感を持ってしまうと,一気に解決が遠のいてしまいます。
ですので,担当者はよほどの理由がない限り変えない方が良いでしょう。
また,初動でクレームを受けた者が最後まで対応することが難しい場合には,早期に適切な担当者に切り替えるべきです。

 ② 方針が固まらない段階で約束をしないこと

クレームを受けると,解決を急ぐ余り,不適当な解決方法を提案したり,約束したりするケースはよく見られます。一度した約束については,よほどのことがない限り反故にすることは難しくなります。
判断に困った場合には,「即座に判断はできませんので,社内で検討します。」「上司に判断を仰いでみます。」といった形で明言を避けつつ,協議を進めていきましょう。

 ③ 話し方には細心の注意を

人は,話の内容よりも,話し方や態度に腹を立てることが往々にしてあります。
特に,感情的になっているお客様にとって,少しの表現の違いで怒りの感情が増幅してしまうこともあります。
相手方から早口でまくし立てられたとしても,担当者としては冷静に言葉を選びながら対応をしていく必要があります。

 ④ ときには毅然とした対応も必要

不当な要求には毅然とした対応をするべきであり,できることとできないことを,「即座に」「明確に」伝えることも重要です。

クレーム対応マニュアルの作成

クレームについて一定の傾向がある企業については,クレーム対応をマニュアル化することも有効です。
・誰がクレームの窓口となるか
・クレームの受け答えの模範例
・解決に至るフロー(代金返金の手続き,合意書の作成など)

といったことをマニュアル化し,社員に共有することにより,クレームが発生したとしても慌てず,スムーズに対応することが可能となります。

弁護士に相談するタイミング

正当なクレームであっても,少し手を焼くクレーマーについては,弁護士のアドバイスを受けながら対応を進めるケースもあります(特に弁護士と顧問契約を結んでいると相談がしやすいので,顧問先様からこの手の相談を受けることはよくあります。)。
相手方との交渉による解決が難しいと感じられた場合には,無理をせず,早めの段階で弁護士に交渉を依頼すると良いしょう。その場合,弁護士がクレームについての一切の窓口になりますので,企業様はクレーマー対応から解放されることとなります。

解決事例

・美容クリニックでの仕上りの不満に関するクレーム
・工務店の施工不良に関するクレーム
・小売店の返品クレーム
・その他